10%高配当! 米国株で資産を増やす方法:Ares Capital Corporationの魅力

今回は、安定して高い配当を出している米国株 Ares Capital Corporation(Ticker :  ARCC)を紹介します。配当が非課税となるNISAにも適していると思います。

ARCCは、2023/8月時点で、10%近い配当利回りとなっています。

なぜこのような高配当を分配することが出来るのでしょうか?

ARCCは、中堅企業や新興企業の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社 であり、時価総額最大のビジネス・ディベロップメント・カンパニー(BDC)です。

BDCは、投資家への配当について利益の90%以上を分配することで、法人所得税を免除されるため、高い配当収入が期待されます。

本記事では、直近の決算内容を含めて、Ares Capital Corporationの事業性を評価しました。

1.ビジネス・ディベロップメント・カンパニーについて

まずARCCの詳細の前に、ビジネス・ディベロップメント・カンパニー(BDC)とは、どういう業種なのかを説明します。

ビジネス・ディベロップメント・カンパニー(BDC)は、中小企業への投資を通じて成長を支援し、投資家に利益をもたらす会社です。こうした会社は、普通の人々や機関投資家が中小企業に投資する手段を提供し、同時に中小企業が資金を調達し、成長戦略を実行するのを支援します。

BDCのキーポイント:

<投資対象企業への資金提供>

BDCは、中小企業に資金を提供します。これは、借金や出資などの形で行われることがあります。中小企業は、この資金を新しいプロジェクトの実行、商品の開発、市場への進出など、成長に関連する目標に使用します。

<多様な投資戦略>

BDCは、株式や債券などのさまざまな金融商品を通じて投資を行うことがあります。これにより、中小企業が資金調達を行う際の選択肢が広がり、投資家もリスクとリターンのバランスを調整できます。

<収益と分配>

BDCは、投資先企業からの利益や返済を受け取ります。これにより、BDCは利益を上げ、その一部を株主に分配することができます。投資家は、株主としてBDCを所有することで、その成長に参加し、配当を受け取ることができます。

<規制と課題>

BDCは、特定の規制に従う必要があります。たとえば、BDCは所定の条件を満たすことで、連邦所得税を回避することができますが、その代わりに投資利益の一部を株主に分配する必要があります。

総じて、BDCは中小企業と投資家の双方にとって利益をもたらす仲介者のような存在です。中小企業は成長のための資金を得ることができ、投資家は新たな投資チャンスを見つけることができます。

2.Ares Capital Corporationの事業内容&ビジネスモデル

それでは、Ares Capital Corporation(Ticker :  ARCC)の詳細について説明していきます。

ARCCは、アメリカの上場投資会社であり、主に中小企業向けの投資を行うビジネスモデルを持っています。以下にARCCの主要なビジネスモデルの要素を説明します。

(1)プライベート・エクイティ投資

ARCCは、成長や再編などの中小企業のニーズに応えるため、プライベート・エクイティ投資を行っています。これにより、ARCCは企業の所有権を取得し、経営に関与することで投資リターンを追求します。

(2)シニア・セキュアド・デット投資

ARCCは、中小企業向けのシニア優先債務やセキュリティ付き債務(シニア・セキュアド・デット)への投資を行っています。これにより、ARCCは企業に資金を提供し、優先的な債権保有者としての地位を確保します。

(3)メザニン・キャピタル

ARCCはメザニン・キャピタルの提供も行っています。メザニン・キャピタルは、企業に対して割高な利率での融資を提供し、上位の債権者よりも優先度が低いが、エクイティ投資よりも優先される債権を持つ投資です。

(4)ポートフォリオ管理

ARCCは、多様化された投資ポートフォリオを管理しています。ポートフォリオには、複数の中小企業への投資が含まれており、産業や地域の幅広いセクターに分散しています。ポートフォリオの管理には、投資の選択、リスク評価、パフォーマンス監視などが含まれます。

(5)アドバイザリーサービス

ARCCは、企業に対して金融・戦略的なアドバイスや資金調達のサポートも提供しています。中小企業の成長を支援し、戦略的なパートナーシップを構築することで、投資と顧客の関係を強化しています。

ARCCのビジネスモデルは、中小企業に資金を提供し、投資リターンを追求することで利益を上げることに焦点を当てています。投資ポートフォリオの多様性とポートフォリオ管理の能力は、リスク管理と収益の最大化に貢献しています。

2023 年 3 月 31 日現在、ポートフォリオのFair Valueは約 211 億ドルで、 466 の企業への投資で構成されています。

3.投資ポートフォリオと売上の推移

<投資ポートフォリオ>

ARCCは、幅広い地域と業界にわたる多様な企業に投資しています。同社の投資先はアメリカ、欧州、中国、東南アジアを中心に展開されており、これにより地域間のリスク分散が実現されています。

また、ARCCは景気に左右されにくい業界に重点を置いており、SoftwareやHealthcareなどの分野に特に注力しています。これらの業界は、長期的な成長の見込みが高く、持続可能な投資収益を提供する可能性があります。

<売上の推移>

ARCCの主な収益源は投資収益です。過去5年間にわたる売上成長率は、年率11.7%となっており、安定した成長を達成しています。同社は、長期的な成果を追求するために、投資先の企業のパフォーマンスを継続的に監視しています。ARCCの投資収益の安定性と成長率は、投資家にとって魅力的な要素となり得ます。

4.一株当たり利益の状況

<Core EPSの成長>

2023年第1四半期のARCCのCore EPS(一株当たり利益)は$0.57となり、前年の$0.42から36%上昇しました。この成長は、ARCCの投資が変動金利の割合が大きいため、金利上昇の恩恵を受けたことによるものです。

<投資における金利上昇の恩恵>

ARCCは、投資において変動金利の割合が大きいため、金利上昇が利益に直結するメリットを享受しています。

金利上昇に伴い、ARCCの投資ポートフォリオからの利息収入が増加し、Core EPSの成長を促進しました。この要素は、ARCCの安定性と収益性を高める上で重要な役割を果たしています。

<配当とPayout ratio>

ARCCの支払い配当金は一株あたりの投資利益に支えられ、配当性向は平均で100%を切っており、投資家に対して安定的な収益を分配しています。

5.バランスシートの状況

<Non-accrual(支払いが遅延している債権)>

ARCCのNon-accrualは、直近の四半期間にわたり持続的に上昇しており、約2%に達しています。この傾向は注意を要するものと言えます。支払い遅延や不履行といった要素が増加していることを示唆しています。

<レバレッジ>

ARCCのレバレッジは、前四半期の1.29に比べて1.12と低下しています。これは、第1四半期の間に新たな投資が少なかったことを意味しています。

低下したレバレッジは、過度の財務リスクを抑える可能性がある一方、成長の機会や利益の拡大にも制約を与える可能性があることを考慮する必要があります。

<資産と負債の利率状況>

ARCCの資産である投資ポートフォリオの収益利回りは12%であり、負債の費用である支払い利率は4.4%でした。したがって、ARCCは債務に対して7.6%の利回り差を獲得しています。

この利回り差は、前四半期の7.43%よりも拡大しています。拡大する利回り差は、ARCCの債務ポートフォリオの収益性の向上を示唆しています。

ただし利率については適切なリスク管理が重要であり、市場環境の変化や信用リスクの増加に対する注意が必要です。

6.純資産価値:Net Asset Value(NAV)

<純資産価値:Net Asset Value(NAV)の成長と配当性向>

ARCCは、投資先の企業の成長や評価の上昇により、NAVの成長を実現しています。過去15年間にわたる成長率は、年率2.2%であり、安定した成果を示しています。

ARCCは高い配当性向を維持しており、投資家に安定した配当を提供することを重視しています。配当性向の維持とNAVの成長の両立は、ARCCの収益性と持続可能性を反映しています。

<景気後退時のNAV動向>

景気後退の時期には、投資先の企業のパフォーマンスが一時的に低下し、それによりNAVも一時的に影響を受けることがあります。

しかし、ARCCのNAVは景気回復に伴い元の水準を超えて成長しています。

これは、ARCCの投資ポートフォリオが多様化されており、強力な企業を含んでいること、また経験豊富な投資チームが適切な対応策を講じたことを示しています。

ARCCの株価は、NAVに対して5〜10%高い価格で推移することが多いですが、ARCCの強力なビジネスモデルを考慮すると適正な価値と考えられます。

ARCCのビジネスモデルは、景気後退時においても強靭な回復力を発揮することができることを裏付けています。

7. リスクとチャンス

投資には常にリスクが伴います。ARCCも例外ではありません。景気変動や業界特有のリスクにより、投資先の企業のパフォーマンスが影響を受ける可能性があります。

ただし、ARCCは多様なポートフォリオを保有しており、地理的なリスクの分散化と景気に左右されない業界への投資により、リスクを管理しています。

また、ARCCは経験豊富な投資チームを有しており、適切なデューデリジェンスとリスク管理を行っています。

8. 結論

ARCCは、アメリカ、欧州、中国、東南アジアなどの企業に投資することで、多様なポートフォリオを構築しています。

同社は景気に左右されにくい業界に重点を置き、長期的な成長を追求しています。過去5年間の投資収益の成長率は、年率11.7%と安定したパフォーマンスを示しています。

ARCCの投資ポートフォリオと経験豊富な投資チームにより、リスクを管理し、投資家に持続的な収益を提供する可能性が高いと考えられます。

【免責事項】このレポートは一般的な情報提供の目的であり、投資上の助言や具体的な推奨事項を意図したものではありません。投資判断を行う際には、独自の調査や専門家の助言を参考にしてください。投資はリスクを伴うものであり、慎重な判断が必要です。

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