バフェットとマンガーによる株主総会実況中継 バークシャー・ハサウェイから投資に必要な知恵のすべてを学んだ
本書は、資産運用会社ペコー&カンパニーのダニエル・ペコーCEOおよびコーリー・レン副社長が、オマハの賢人と呼ばれるウォーレン・バフェット会長兼CEOおよびチャーリー・マンガー副会長が率いるバークシャー・ハサウェイの株主総会から、投資に役立つ知見を抜き出して時系列にまとめたものです。
原題は、” University of Berkshire Hathaway “ であり、まさに、30年にわたるウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーという2人の卓越した投資家による、その当時におけるライブでの投資に関する講義です。
バフェットとマンガ−が述べていることは、バークシャー・ハサウェイの経営にとって大事なことは何なのか、また本質的に投資において重要なことは何なのか、繰り返し述べていることが分かります。
また時系列でまとめられていることから、バブルや暴落の最中、多くの一般投資家が市場に振り回されていたのに対し、バフェットとマンガ−がどのように考えて投資をしてきたかについても、よく分かると思います。
本書の中で述べられている投資に関する知見について、いくつか事例を挙げてみます。
1986年
・バフェットが他の投資家と異なるのは、無形資産を特定し評価する能力である。
1989年
・資産の価値をX〜3Xと評価した場合、それをXの半分で買おうとしている。
1992年
・利札には投資家自身が書き込む必要があり、その利率の正確さが賢い投資の本質である。利率をまったく正確に予測できないのであれば、その企業に投資してはならない。
1993年
・40社以上の企業の情報を追おうとすると強みを出すことができる人はほとんどいない。生涯で8〜10社、あるいは1社でも、利益を得ることができるだろう。
1994年
・必要なのは、迅速な情報ではなく、良質な情報である。バフェットは、仮にメールや株価情報が三週間おくれてもうまくやれるだろうと、結論づけている。
1996年
・分散投資は、自分がしてることを理解している人にとっては、意味をなさない。銘柄一覧の中の第1位と第37位を均一に買うことは、正気を失っているように思われる。
1999年
・確実性のために大きな支払いをしたい。ソフトウェアにおける勝者を選ぶよりも、業界の王者であるコカコーラを選ぶほうが、ずっと簡単だ。
2000年
・投資家には富を増やし続ける賢明な方法があれば十分だ。ほかの誰かが、富を得たとして、それが何だと言うのだろう。
2001年
・今後20年間で人々は株式市場において例外的に愚かなことをするときがあるだろう。バークシャーに対する疑問は、その時期が来たらそこから利益を得られるようなポジションを取っているだろうか? ということである。
2002年
・デリバティブを地獄に例えた ー入るのは簡単で、出るのは難しいー
・EBITDAについて話す人々のなかには、高い割合で詐欺師が存在する
2004年
・投資に知性は役立つが、それよりもふさわしい気質を持つことのほうがずっと重要だ。
・企業を観察することと、自分のデータベースや事業への理解を築くことに多くの時間を費やす必要がある
2005年
・バークシャーは資産配分をまったく考慮しない。どんな区分であっても機会が存在するところに向かうだけであり、これは現代の投資理論と完全に調和していない。
2007年
・所有する各企業の一つか、二つの重要な要素を知ることが大事だ
2008年
・素早く考えて堅い意志で行動することができなければ、良い結果はもとらされない。長い間待つことになるかもしれないが、機会が現れたときには行動しなければならない。
2009年
・内在企業価値の点でバークシャーは、S&P500よりも2%程度速く成長することを望んでいる
2010年
・主義の問題として、一株あたりの利益を示していない。そのような慣例は、数字のごまかしにつながることが非常に多い。
2011年
・投資家は営業利益の増加や簿価の増加、内在価値の増加に着目すべきである。
2012年
・バリューアットリスク(VaR)を、これまでに提案されたなかで最も愚かな考えの一つだと述べた。
・その企業が5〜10年後にどのようになっているかについて、しっかりとした考えを持てるようにする。
2014年
・追加的な1ドルは、ほかに候補となるすべての機会に比べて、長期的に最も良いリスク調整済み収益率を得るようなところへ配分されるべきだ。
・貸借対照表をとても強固なものにしておく(最低でも2百億ドルの現金を持っておく)ことを好む。
2015年
・本当に重要なのは、企業の平均的な収益性が長期的にどれほどのものになり、企業の堀がどれほど強力かということを把握できることである。
2017年
・報告利益ではなく、内在価値の成長に着目すべきである。重要なのは、数字そのものではなく、それが意味するものだ。それぞれの事業には、その発展を評価するにあたって重要な固有の要因がいくつかある。
上に挙げたものは、ほんの一例にすぎません。本書では、このような珠玉の知見が多々得られるでしょう。
驚くべきことは、分散投資や資産配分(アセット・アロケーション)、VaR(バリュー・アット・リスク)といった、現在の投資理論で正しいとされている考え方を、投資の世界で最も優れた実績を叩き出している、バフェットとマンガ−が明確に否定していることです。何が本当に正しいのか、本書を読みながら、じっくりと自分の頭で考えてみることが重要でしょう。