基礎からの集中投資(19):「やっぱり自分の選択は正しかった!」と思いたくなる心のワナ!

今回は、自分の投資判断に自信があるときこそ注意したい、心理的な落とし穴について、物語をもとにご紹介したいと思います。

物語:強気な投資家、タケシの苦悩

タケシは、IT業界の未来を確信し、ある最先端技術を持つテック企業「ユニコーン社」の株に投資しました。彼の目には、ユニコーン社は輝いて見え、その成長を疑う余地はありませんでした。

しかし、ある日、ユニコーン社にネガティブなニュースが飛び込んできます。「主要なプロジェクトが大幅に遅延」という報道です。

タケシは初め、そのニュースを軽く見ていました。

「この技術は画期的だから、多少の遅れは問題ない。市場が価値を理解していないだけだ」

彼はそう自分に言い聞かせ、ネットでユニコーン社に関するポジティブな記事ばかりを探し始めました。「新製品が顧客から高評価」「将来のロードマップは順調」といった、自分の投資判断を肯定する情報だけを集めたのです。

一方で、ネガティブなニュースについては目を背け、無視を決め込みました。

しかし、その後の株価は下落の一途をたどります。タケシは、自分の判断が間違っていたと認めたくなかったのです。これが、私たちの心に潜む「認知的不協和」という心理です。

認知的不協和:自己防衛のメカニズム

認知的不協和とは、自分が信じていること(ユニコーン社は素晴らしい投資先だ)と、現実(株価が下落している、ネガティブなニュースが出た)が矛盾したときに、その不快感を解消しようとする心理的な状態を指します。

タケシは、この不快感から逃れるために、自分の都合の良い情報だけを集め、悪い情報には蓋をしました。しかし、この行動が、彼をさらなる損失へと導いてしまったのです。

成功への思考法:悪魔の視点を持つ勇気

では、タケシはどうすれば良かったのでしょうか?

賢者の助言を受けたタケシは、投資の考え方を根本から変えました。

「もし、このネガティブなニュースが本当だったらどうなるだろう?会社の将来性にどう影響するだろうか?」

彼は、自分の投資先に関する**「悪い情報」**こそ、積極的に集める習慣をつけました。競合他社の動向、業界全体の逆風、そしてユニコーン社の弱点…タケシは、自分の判断を疑う「悪魔の視点」を持つことで、客観的にリスクを再評価できるようになったのです。

この思考法によって、彼は小さなリスクの兆候を早期に発見し、手遅れになる前に次の行動に移せるようになりました。

あなたの「耳に痛い情報」を大切に

投資は、常に正しい判断を下すことではありません。自分の判断が間違っている可能性を常に考慮し、冷静にリスクと向き合うことが重要です。

もし、あなたが投資している銘柄にネガティブなニュースが出たとき、「これは一時的なものだ」と無視するのではなく、その情報を客観的に分析する勇気を持ってみてください。

その一歩が、あなたの資産を守る大きな力となるはずです。

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