ゴールに到達するためには、まず現在地をしっかり把握しないといけませんよね。
この記事では、現時点における収入・支出や資産の状況を把握し、将来の家計を予測する手法について説明します。
家計のバランスシートで貯蓄額を計算
この手法では、資産の変化を計算することにより、その期間の貯蓄額を正確に把握することができます。
また、すでに家計簿をつけている方であれば、今回お話する手法により、家計簿に抜け漏れがなかったか、確認することができます。
次の図は、2月の資産の額210万円から、1月の資産の額200万円を引くことでその差額を算出するイメージを記載しています。この差額が 1月から2月の間に貯蓄された金額10万円となります。 次に手取り収入25万円からこの貯蓄額10万円を引くことで、その月の支出総額15万円を正確に把握することができます。この手法により、月に1回確認するだけで、簡単にその月の支出総額を把握することができます。
基本生活費を明らかにする
次に支出構成を把握します。先ほど算出した支出総額から、 毎月一定額を支出する固定費として、例えば住居の費用、教育費用、保険料などを分類します。 次にその月、あるいはその年限りの一時支出を把握します。 一時支出を支出総額から差し引いた額が、基本の生活費となります。 このように引き算で支出額を明確にすることで 抜け漏れなく、支出を把握することができるようになります。
貯蓄率の目標を定めよう
次に貯蓄率、すなわち手取り収入のうち何パーセントを貯蓄すべきか、この目標値についてお話します。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によりますと、平均的な貯蓄率は11%となっています。
目標としては 手取り収入の10%以上、可能であれば20%以上を目指して行きたいですね。この貯蓄額が、今後の資産運用の元手となってくる重要な要素となります。
キャッシュフロー表で将来を予測する
将来の家計を予測するツールとして、キャッシュフロー表を紹介します。
次の表がキャッシュフロー表の事例です。横軸は、現在から1年後、2年後、3年後…といった経過年数を示しています。合わせて西暦と元号を記しています。またご本人の年齢や、ご家族の年齢が記載してあります。その下に主なライフイベントや事前に設定したゴール、例えば住宅購入を検討している年、お子様の中学、高校、大学への入学、このような大きなイベントを記載すると良いでしょう。
次は収入の項目です。現在の給与所得あるいはその他の収入を記載します。また収入の上昇率については、 ある程度正確な数字が読めるのであればその比率、 またはひとまず1%ずつ上昇するというような仮定で入力します。 支出については、先ほど算出した基本生活費や固定費、これらを記載します。また同じように上昇率、すなわちインフレ率を加えておくことで、保守的な数字となります。
最後に、その収入と支出の差分が収支となります。収支が赤字の場合は、預貯金残高が徐々に減っていく事態なので、改善を検討する必要があります。
キャッシュフロー表の作成に関しては、 ファイナンシャルプランナーに依頼する、あるいは無料のライフプランシュミレーションのソフトをインターネットから 活用することで、作成することができます。例えば、Financial Teacher System、知るポルトのライフシミュレーション、全国銀行協会のライフシミュレーションなどで、無料で作成することができます。
将来の資産は大丈夫?
次の図はキャッシュフロー表から算出した資産推移の見込みとなります。
横軸が経過年数縦軸が預貯金の残高となります。この事例では 徐々に預貯金が減少して行き、7年目からはお子様の大学入学に伴い赤字の状態となってしまいます。このように、支出と収入の状況に加えて 資産・負債の将来を予測することで、家計のリスクや課題を早期に発見し、改善策を検討することができます。
まとめ
現在と将来の家計の状況を予測することが、資産運用を検討していくための重要なステップになります。