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書評:リスクテイクの経済学


リスクテイクの経済学――気鋭の学者と現場で探る、賢いリスクの選び方 (フェニックスシリーズ)

本書では、経済学者であるアリソン・シュレーガーが、様々な業種における現場調査を踏まえて、現実の生活における”リスク”のとり方について解説を試みています。その調査により、売春宿や競走馬育成、マジシャン、パパラッチ、犯罪者、サーファー、軍隊など、およそアカデミックな世界と無縁な業種において、リスクに対してどのような考え方・行動が取られているかが解説されていて、リアルな生活の場でのリスクに対する示唆が多く得られる、興味深い内容となっています。

例えばパパラッチは、最高の1枚を撮るために適切なタイミングで適切な場所にいるかどうかにかかっているため、パパラッチたちはその場に自分もいる可能性を増やす目的で、チームや提携関係を作り、情報や写真の売上を分け合うことで、リスクを下げようとしています。著者は、リスクの専門家の視点から、このようなある意味特殊な業態で行われるリスク管理の現実を切り取っています。

アリソン・シュレーガーの専門分野は老後資金をめぐる金融であり、「株式市場が急上昇するのか、それともクラッシュするのか、あるいは自分はどれくらい長生きをするのか、そうしたことがわからないような状況で老後の資金を確保するには、結局のところリスクというものを究めておく必要がある」と述べています。

また単なる解説だけではなく、リスクテイクに対する具体的な方策についても、以下のような考え方を提案しています。

・まず初めに自分が何を求めているのか、リスクフリーを前提によく考えることで、自分の目標をより明確にし、そのために自分はどれくらいのリスクを取れるのかを確認する。

・例えば、終身年金の保険料がリスクフリーの老後資金の価格であるが、残念ながら、私達のほとんどはリスクフリーの老後資金を手に入れられるほど貯蓄をする余裕はない。

・したがって、収入のうちどれだけについてリスクテイクの対象にできるのか、ということを考える必要がある。

アリソン・シュレーガーは最後のパートで、「リスクを取るべきかどうか」ではなく、「どのようにすれば、より賢くリスクを取ることが出来るか」が重要であり、関連するリスクを計測し、欲しい物を手に入れる上で、最小限必要なリスクだけを取るべきである、とまとめています。

資産運用や投資の世界だけではなく、生活の多くの場面で、”リスク”についてより深く考えることは、成功への大きな道標になると思います。


リスクテイクの経済学――気鋭の学者と現場で探る、賢いリスクの選び方 (フェニックスシリーズ)

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