
それでは基礎からの資産運用(4)に引き続き、資産運用プランの作成についてご紹介します。
次の図は資産運用プランを設定するためのフローチャートとなります。本記事ではリスク許容度の把握、資産配分の検討、リターン予測、達成見込みの推定について説明します。

自分自身のリスク許容度を把握する
適切な投資を行うためには、自分自身のリスク許容度を把握することが大事です。
リスク許容度は人それぞれであり、リスクをとる能力と、リスクを取る意志といった二つの観点から、自分自身が許容可能だと思われるリスクを見定めます。
リスクを取る能力
リスクをとる能力に関しては、 投資に関する知識、 安全資産を確保できているか、 投資の期間は短いのが長いのか、 他の収入 給料等の収入が安定しているかどうか、といった点を評価します。 これらを五段階で評価した上で平均化してリスクをとる能力がどの程度なのかこちらを見極めます。
リスクを取る意思
次にリスクを取る意思、 すなわちリターンを重視するのか、リスクを回避することを重視するのか、といった点を決めます。リターンを重視する方は5点、リスク回避を重視する方は1点となり、どのポイントがご自身の嗜好と合っているのかを決めます。
また値上がりを目指すのか、あるいは利子配当を目標とするのかを決めます。値上がりのみを目指す場合は5点、利子配当のみを目指す場合は1点 そのバランスをご自身の嗜好で決めます。
次に価格下落の受け入れについて確かめます。投資資産は価格が大きく変動することがあります。それに対して 「問題なく受け入れることができる」と思われる場合は5点、「絶対に受け入れられない」と考える場合は1点として、 そのバランスを決めます。
これらの平均点を算出することで、リスクを取る意思のポイントを決めます。 先ほどのリスクをとる能力とあわせて、次のリスク許容度マップを使って、リスク許容度を判定します。

適切な資産配分を検討する ~資産運用ピラミッドの作成~
資産運用ピラミッドの構成
それでは資産配分ピラミッドについて説明します。 次の図は、ピラミッドの下の部分から資産の保護、資産の管理、資産の拡大の3つの区分を表しています。このような形で資産について明確な役割を持たせていくことを考えます。 大切なのは、ピラミッドは下から積み上げていくべきだ、という点になります。

資産の保護で必要なことは元本の確保です。このためローリスクな金融資産への配分が求められます。 次に資産の管理、こちらに関しては購買力の確保、つまりインフレへの対応や為替の対応を目標とすることになります。 こちらに関してはミドルリスク・ミドルリターンの金融商品に投資します。 そして頂点は資産の拡大、こちらの目標は長期ゴールの達成となり、ある程度ハイリスク・ハイリターンの商品を選んでいくことになります。
この資産運用ピラミッドは、 すべての人に共通のものではありません。ご自身のリスク許容度により配分を変える、あるいは内容を調整して行く使い方となります。
リスク許容度が高い人
まずリスク許容度の高い方の資産運用ピラミッドの例を紹介します。資産の保護に関しては、ローリスクの商品で、すなわち預貯金を中心に、生活費の6ヶ月程度の金額、及び3年以内の大型支出を確保します。
次に資産の管理に関しては、購買力確保のため、インフレ対応あるいは為替変動の対応を積極的に取り組んでいきます。
資産の拡大に関しては、長期ゴールの達成に向け5年以上先の目標を目指します。短期的な価格変動は受け入れつつ、長期的なリターンを狙っていく、という考え方になります。

リスク許容度が低い人
次にリスク許容度が低い方の資産運用ピラミッドの例を紹介します。 土台となる資産の保護に関しては、預貯金として生活費の12か月以上、及び5年以内の大型支出の金額を確保します。資産管理については、購買力の確保として、インフレ対応をしておくことをオススメします。リスク許容度が低い人においても、預貯金だけの場合、見た目はリスクを取っていていないように見えても、インフレに対しては無防備になっていると言えます。このためある程度のインフレリスクに対する防御を考えていくことが、家計の購買力の確保のために必要なポイントとなります。

現実性のあるリターンを予測する
各種金融資産のリスク&リターン
次の図は、各種金融資産の年率リターンとリスク(変動幅)を表しています。
縦軸が年率のリターンであり、0%以上がプラスのリターン、0%以下がマイナスのリターン、すなわち損失です。一番左の新興国株式では、最大リターンが72%、最悪が-53%平均、平均が12.2%となります。 さらに変動リスクとして28.8% という数字が示してあります。 この意味は、平均値12.2%±28.8%、すなわち40%から-16%の間に、約70%の確率で収まることを示しています。
投機級債券から左の金融商品は、変動リスクが10%以上あるハイリスク・ハイリターンの金融商品となります。一方で投資適格な債券あるいは 定期預金や個人向け国債、このような金融商品ははミドルリスク・ミドルリスクの金融商品となります。

金融資産を資産運用ピラミッドに当てはめる
これらの金融資産を、資産運用ピラミッドに当てはめます。
安全資産に関しては、今普通の預金はほぼ0%なので、リターンは記載していません。
資産の管理、購買力確保に向けては、例えば米国の投資適格債のリターンが4%程度 それから日本の個人向け国0.2%程度、このような金融商品を配分します。長期ゴール達成に向けては、米国の株式ファンドのリターンで10%程度 また不動産投資信託約のリターンで8%程度、と予測します。

もう一度、ゴール達成見込みを確認する
ライフプラン・シミュレーションのアップデート
これらのリターンを織り込んだ上で、ライフプラン・シミュレーションのソフトを用いて資産推移の見込みを算出します。
パーソナルゴールと戦略的な資産運用を織り込んだ上で、純資産が充分な額、プラスで推移する場合には、その内容で資産運用プランを確定させます。

夢を実現するファイナンシャル・ロードマップ
次にファイナンシャルロードマップの事例を示します。
このロードマップでは、パーソナルゴールの中でも特に大きな支出を可視化します。
記入する項目は、ゴール内容と達成時期、必要な金額です。 あわせてイメージを明確するために、イラストや写真などを入れると、常にゴールを意識して、モチベーションを保つことができるでしょう。さらに到達するための資産構成目標、資産の保護、管理、拡大の金額について、いつまでに、いくらまで増やして行くのか、目標値として明確に記載します。

それでは次回は、この資産運用プランを基にした、投資方針記述書についてご紹介します。